untitled

生活、地元、小旅行

すさみ町江住 -紀伊半島の旅その1-

きのくに線無人駅のホームは狭い。1面2線の無人駅、この狭さ、旅情を掻き立てて、遠くから来た人には意外と人気があるかもしれない。

f:id:gentleflow_0501:20170906114740j:image

この前、昨秋から温めていた旅の計画を実行に移した。特急で通り過ぎるとき、枯木灘の美しい景色が見える江住駅に、いつか降り立ちたいと考えていた。

f:id:gentleflow_0501:20170906115804j:image f:id:gentleflow_0501:20170906120018j:image

枯木灘を背にした駅前のローソンは自分の知っているなかで一番風光明媚なローソンだろう。自分が初めて江住の風景に惹かれたのは、所用で和歌山市に行くときに乗っていた特急くろしおから、薄暮のなかに揺れる海面とこのローソンの青い灯りが見えたのがとても美しかったときだ。ここにはテラスがあり、海を一望できる。

f:id:gentleflow_0501:20170906122433j:image f:id:gentleflow_0501:20170906122445j:image

このあと道の駅すさみまで歩いて、特産のイノブタで作った豚丼を食べた。イノブタは名前の通りイノシシとブタの交配種で、ここすさみ町で誕生した種だ。紀南に生まれた自分もまだ食べたことがなかった。実際に食べてみると、野生的なイノシシのイメージから想起される味とは裏腹に、食欲をそそるような風味が適度にあり、食感もあり、しかもあっさりとしていてとてもおいしかった。

 

道の駅のレストランはガラス張りの壁から枯木灘が見える。特に、すさみ八景のひとつ、江須崎がよく見える。江住にはすさみ八景がもう一つあり、江須崎の入り口にある日本童謡の園からの眺めがとてもいいらしい。この日は真夏よりは涼しかったけれど、もっと涼しかったらそこまで行ったかもしれないなあ。今になって行きたくなってきた。

 

すさみ町は、隣の白浜町などに比べるとやや知名度で劣るかもしれない。しかし、枯木灘の雰囲気は随一のものだし、町自体かなり個性的なことをしている。具体的には、海底にポストがあったり、エビとカニだけの水族館があったりする。スルメイカを郵便で送れるらしい。すさみ町は弾けている。

 

道の駅すさみのなかにあったすさみ町のポスターにはこのようなコピーがあった。「海の幸、山の幸、時の幸」 時の幸とは、海と山に囲まれた土地で、この町の他とは違う何かを感じ、今日ここに来て良かったと思えるということだろう。今度はすさみ町の中心部にも行ってみたい。見老津のあたりも素敵だろう。

 

江住駅に戻り、地元の方の俳句が飾られているのを見たり、それを真似した駅ノートの書き込みを読んだりした。

「雨降って地固まるどころか土砂崩れ」 紀伊半島特有の大雨で電車が止まってしまったのだろうか。過去に江住を訪れた旅人の不運を気の毒に思いつつも、そのユーモアに心温まりながら、次の目的地である御坊へと向かった。電車が出るとすぐにトンネルに入るから、江住の海もローソンもすぐに見えなくなってしまう。うち心惜しく、再びきのくに線の電車に乗った。

 

f:id:gentleflow_0501:20170906124854j:image