untitled

生活、地元、小旅行

和歌山県退出2日前

向こうに持っていく書籍などを段ボールに詰めた。思ったよりも持っていく本は少なくて、小さな段ボール半分にも満たないほどだった。少ないほうが後々の片付けでは有利になる。

 

朝から何を段ボールに入れるか考えた。大学入試の赤本に手を出して、2011年の国語の第1問、長田弘「失われた時代」をもう一度読む。この文章がもともと掲載されている本はもう絶版になった。ならば、文の題材となっているレオーノフの長編小説は? 調べたら、Amazonにすら中古が見つからない完全な絶版だった。これほどの文学的価値を持つものでも、日本ではもう新たに製本されることはない。がっかりした。見るからに下品で安っぽい、たとえば他民族を貶めるような、そんな新書はたくさん出版されているのに。

 

あさって和歌山県を出る。4/3から4/7までずっとガイダンスや入学式で忙しいから辛い。初めて住む都市で暮らしていくことに馴染んでいくための余裕がもう少しあればよかったのに。もう友達の多くは行ってしまった。出発の遅い自分は和歌山県から出るための準備をする時間がたくさん与えられている。

 

和歌山県はいいぞ。便利ではなかったけど、高校卒業までの時間、無用な焦りのない生き方ができた。高校受験は一応したけれど、まあほどほど勉強してれば大丈夫だったし、都会の人みたいに厳しい「お受験」をしなくて済んだ。これはありがたかった。津波を伴う大地震がいつか起こる場所だから、突然死ぬこと、死なないとしても多くのモノを失うことを薄々意識しながら生きることを強いられた。特に東日本大震災が起こってからは。その意識のなかに、生活を送ることの尊さがたびたび現れる。

 

春から1人暮らしが始まる。自分の生活を、これまで以上に大切に扱う必要がある。むしろ大学の授業や人間関係よりも楽しみなくらいだ。料理ができる。スーパーが近くにいくつかあるから、料理したくない日はご飯だけ炊けば十分。まずは疲れない程度に、料理と洗濯と掃除をルーティーン化させよう。

 

いろいろと運び出してしまうので、明日は退屈だと思う。和歌山県で住む最後の日なので、忙しいよりは退屈なほうがいい。